Ri.Night Ⅰ 【全完結】

「壱さん、陽、謝らないで。言わなかったあたしが悪いんだから。

それに、分からなくて当たり前だよ?あたし頑張って隠してたんだもん。だから、あたしが悪いの」


「凛音ちゃん」


「凛音」


「それに、昨日は自分から仕掛けたんだから」


そう言って、あははと苦笑するあたしに、


「仕掛けた?」


彼方がコテンと首を傾げた。


「そう。あたしね、初めの頃、何とか犯人見つけようと頑張ったんだけど、嫌がらせされるのがいつも背後からでずっと顔見れなかったの。

そんな日が一ヶ月近く続いて、流石にストレス溜まってきたから昨日思いきって仕掛けたんだよね」


「仕掛けた?何を?」


「手紙を自分の机に入れたお。見える所に置いておけば犯人が見るでしょ?」


「手紙って……りっちゃん何て書いたんだ?」


えーと、なんて書いたっけ?


確か……。


「“文句があるなら、正々堂々、直接言いに来たら?相手にしてあげる”」


「………」

「………」


ん?

何、そのリアクション。


あたしを見る皆の視線がオカシイ。


陽なんかあんぐりと口開けてるし。



「……って馬鹿かー!!」

「ぉわっ!」


驚愕顔から一転、鬼のような形相になった煌。


「喧嘩売ってどーすんだよっ!!」

「ひぇぇぇぇ!」


お、鬼だ!鬼がいる!此処に鬼が!


「だ、だって腹立ってたんだもん!それに喧嘩売りに来たのはあっちなんだから!」


煌の気迫に押されつつも、負けじと言い返す。

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