Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「馬鹿のくせに余計な事考えんな」
「いたっ」
「りっちゃんが出て行くとか寂しすぎるからダメー」
「彼方……」
「凛音ちゃんが良かったらずっと此処に居てよ」
「壱さん……」
皆、そんな嬉しい事ばっかり言わないでよ。泣けるじゃんか。
「ホラ、飯行くぞ」
「……ご飯?」
「お前等起きるの待ってたから朝から何も食ってねぇんだよ」
あら。それは悪い事しました。
「行こう」と壱さんに手を引かれて、立ち上がる。
「車乗れねぇから俺バイクで行くわ」
「あたしもバイク乗りたい!」
バイクの鍵を持つ彼方にすかさず挙手。
「おっ!?りっちゃん、後ろ乗っちゃう!?」
「乗っちゃうー!!」
ニヤリと笑う彼方に、お返しと言わんばかりにニヤリと笑う。
「よし!決まり!」と二人でハイタッチしながらはしゃいでいると、
「駄目だ」
総長様に却下された。
「何で!?」
あたし、バイクに乗りたいのに。
むぅと口を尖らせると、十夜はあたしから煌へと視線を移した。
「車二台で行く。煌」
「はいよっ、と」
一人だけまだ座っていた煌が、煙草を揉み消しながら立ち上がる。
サイドテーブルにあるボックスから鍵を取り、先に玄関へと歩き出した。
車の鍵?誰が運転すんの?
そんな疑問を抱えたまま、あたしも煌に続く。