Ri.Night Ⅰ 【全完結】
19.Tear Drop
────…
車が到着したのは、繁華街のちょうど真ん中、大通りの外れにあるパーキングだった。
「お前と陽は後ろからついて来い」
車から降りるなり、そう指示してくる十夜さん。
「何で?」
「バレたくねぇだろ?」
「………」
まただ。
十夜達は初めからそうだった。
登下校の時も別々にしてくれたし、学校の中でも話しかけて来た事がない。
全部理解してくれていて、あたしの為にそうしてくれてる。
それが、凄く嬉しかった。
「あたしはバレても大丈夫!誰が来ても負ける気ないから!」
ニッと笑って皆にピースすると、煌がわざとらしく溜め息をついた。
「……ったく暴れんじゃねぇぞ?」
「はぁ?暴れないし!」
煌の失礼発言に顔を顰めて、思いっきりパンチを食らわせる。
「凛音」
「ん?」
「俺はお前を危ない目には合わせたくない。だから、俺等の傍から離れるな」
十夜……。
「うん」
十夜の言葉に素直に頷いて一緒に歩き始める。
──と。
「あ、ちょっと待って!」
数メートル歩いた所で一つ思い出した。
壱さんに車を開けて貰って、通学鞄の中からお気に入りの黒縁眼鏡を探し出す。
「これで少しは変装になるよね」
この前十夜に貸した黒縁眼鏡をかけて、髪の毛を軽くアップにしてみた。
「凛音、雰囲気違って可愛いー」
「そうかな?ありがと、陽」
褒めてくれた陽の手を握って一緒に歩き始める。