Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「……後ろ、凄いね」
「な?良かっただろ?離れて歩いてて」
「うん」
チラリ、後ろを振り向けば、此処は学校か、と突っ込みたくなるような光景が広がっていて。
陽の言う通り、離れてて良かったと心底思った。
さっきはバレても良いかと思っていたけど、あの騒がれようを見たら絶対にバレたくない。
だって、あれ凄すぎるもん。
陽の配慮で少し離れて歩いてたけど、一緒に歩いてたら一体どうなってた事やら。
良かった。離れて歩いてて。
だってもう、あれは正体バレるとかそういう問題じゃないからね。
バレたらその場で八つ裂きにされそうな感じだもん。
あたし、鳳皇ファンを甘く見ていたかもしれない。
「凛音、着いたぜ」
「え、此処?」
陽が立ち止まったのは黒い扉の前で。
その扉の上にある看板には【Tear Drop】と書いてある。
ここ、どこからどう見てもレストランには見えないんですけど。
これって何のお店?
「お前等何してんだよ。早く入れよ」
後からやってきた煌がドアを開けて先に中へと入っていく。
壱さんに「凛音ちゃん先にどうぞ」と言われて先に中へ入れば、中は飲食店とは思えない程真っ暗で。
入った瞬間、営業していないんじゃないかと思ってしまった。
っていうか、ここって……。
店内をぐるりと見回して確信した。
ここは、多分“BAR”だ。
だって、カウンターの壁にお酒が沢山並んでるし。
……となると、一つ疑問点が。
“BAR”って昼間、お店営業してるの?