Ri.Night Ⅰ 【全完結】
頭を上げたあたしは直ぐ様回れ右をし、その場から立ち去ろうと足を踏み出した───が。
「………っ!?」
突然手首を掴まれ、それ以上先へは進めなくなってしまった。
……っ、もう!何なの!?
「帰るんなら送る!けど、仲間にすんのは諦めねぇからな。だから名前教えろよ」
「は!?ヤダ!仲間になる気なんてないって言ってるでしょ!?」
あまりのしつこさに段々と苛立ってくる。
「離して!」
掴まれた手を思いっきり振り払い、顔を逸らす。
ったく、顔が良いからって何でも思い通りになるとは思わないでよね!
「逃げても絶対見つけ出してやるけど」
「……っ」
拒否しても尚、諦めようとしない男。
何故そこまでして仲間に入れたがるのかが分からない。
どう見たってただの気まぐれにしか思えないし。
ギリっと唇を噛み締めるあたしを見て、愉しげに口元を緩ませている男。
……コイツ、絶対性格悪そう。