Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「く、苦し……」
腕の中でもがいている男の子を力一杯抱きしめて、グリグリと頬ずりする。
明るめハニーブラウンの髪色。
その色に見事マッチしている短めのソフトモヒカン。
クリッと大きいけど、目尻は少しつり上がっていて。
その目が確かに男の子だという事を主張していた。
座っているから背の高さは分かんないけど、見た目からしてきっとあたしとそんなに変わらないと思う。
なんて言うか、見た目だけで言えばやんちゃなお猿さんみたいだ。
もう、ホントに可愛いすぎる!!
「く、苦しい!ちょ、東條!痛ぇよ!はーなーせー!」
……おぉっと、またやっちゃった。
両手をばたつかせて必死に叫んでいる男の子を慌てて離すと、男の子はあたしから素早く身体を遠ざけ、超怖い顔で睨んできた。
「ご、ごめんね!可愛くてつい!」
取り敢えず頭を下げて合掌。
睨んでる顔も超可愛い、と思ったのはもちろん内緒。
これ以上刺激すると余計に怒りを買いそうだから言わないでおく。
「つい、じゃねぇよ!どんだけ力強いんだよ!あーびっくりした!」
よっぽど痛かったのか、両手を交差させ、二の腕を摩りながら唇を尖らせるプリティボーイ君。
その表情がまた可愛くてムラム……っと。
「ごめんー。あたし可愛いものを抱きしめる力だけはハンパなく強いんだよねー」
握力は物凄く弱いんだけどね。えへ。