Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「失礼なのか優しいのか分かんないな、あの人」
初対面の人に『どっか行け』って言ったかと思えば、『陽とは友達でいてやってくれ』とか優しい事も言うし。
あたしの中で“あの”初対面の印象が強すぎたからなんか意外だったな。
まぁ、あれも結局はあたしを巻き込まないようにする為だったんだけど。
でも、もう少し言い方ってもんが……。
でもまぁ、仕方ないか。
あの人口下手で不器用そうだし。
失礼男の仏頂面を思い出して、またクスリと笑みを零れる。
あの人達はあの人達で仲間を大切にしてるんだよね。
それにしても疲れた。
今日は入学して一番しんどい日だったかもしれない。
まさか学校で見つかるなんて思わなかったし。
あの一週間は一体何だったのよ。
所詮無駄な抵抗だったって事?
そう思うと気分がどんどん落ちていく。
けど、落ちていく気分とは裏腹に、足取りは軽やかだった。
これでもう何の心配も無くなった訳だし。
あの人達と関わらなければ中田には狙わないよね。
これにて一件落着。
明日から平和な高校生活が送れる!
……そう思っていたのに。
まさか、あんな事が起こるなんてこの時のあたしは微塵も思っていなかった。