Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「何も今からあの人達の所に乗り込んで行く訳じゃないよ?放課後話があるからって伝えて貰うだけだから」
「……あ、そうなんだ」
あたしの言葉にホッと胸を無で下ろす妃奈。
流石のあたしでも今から乗り込みに行こうとは思わないよ。ここ学校だし。
それに、あの人達と話している所を誰にも見られたくないしね。
放課後ならみんな下校してるだろうし大丈夫かなって。
「じゃ、ちょっと行ってくるね」
そう言って左手を軽く上げた時、
「あ」
「……あ」
運悪くお昼休憩終了のチャイムが鳴り響いた。
「あっちゃー。しょうがない、放課後にするしかないか」
「そうだね」
妃奈と顔を見合わせ、苦笑しながら肩を竦める。
「あーもう。中田早く諦めてくれないかなぁ……」
中身が残ったお弁当箱を持ち、教室に向かいながら零すのは当然愚痴。
最早、あたしの口からは愚痴と溜め息しか出てこない。
「でも、まだその中田っていう人が凛音ちゃんを狙ってるか分かんないんでしょ?」
「……そう。それがある意味厄介なんだよねぇ」
狙ってるか狙ってないかさえ分からない状態だからこんなストーカー被害に合わなければならなくなるんだ。
あの人達は中田を探してくれているんだろうか……。