Ri.Night Ⅰ 【全完結】
肩を竦めながらストーカー君の元へと歩いて行くと、
「……え?え?」
理解出来ていないのか、突然慌て始めたストーカー君。
周りを見回すその姿は、正に挙動不審。
「ねぇ」
そんなストーカー君に呼び掛けると、ストーカー君は「え?俺?」としどろもどろになりながら応えた。
それに「そう」と応え、続いて「君んとこの総長さん呼んでくれない?」と笑顔で問いかける。
「え?総長?」
「そう、総長。あたしにストーカーさせてる君んとこの総長」
「え?えっと……」
イラッ。
返事ぐらいハッキリしてよね!
何を言っても“え?えっと”しか言わないストーカー君に、段々と苛々が募っていく。
終いには助けを求めるように周りをキョロキョロし始めるし、ほんとあの人達のチーム大丈夫なんだろうか。
「だーかーら!あんたんとこの総長、えーっと、何だっけ?十夜?って名前なんでしょ!?その人に話したい事あるから今すぐ此処に呼んで欲しいの!」
「え?十夜?……あ、ちょっと待ってて下さい!」
何かを閃いたかのように目を見開いたストーカー君は、ポケットから携帯を取り出すと電話をし始めた。
何度か相槌を打ち、チラリとあたしの顔を見るとおもむろに歩き出し、何故か距離を取る。