プラネタリウム
少年の頭の上には?が浮かんでいるようだった。
「頭悪いから、あんま早くはなされると頭追いつかないの。だから丁度いいよ。」
気にするなと言っても駄目なのだから、俺は無理にでも受け入れさせよう、
と考えた。
すると少年は何か言いたげに口を動かした。でも当然声は出ない。
ハッとなってペンを持った。
『ありがとう!』
紙いっぱいに書かれている。
びっくりマークがつくのは初めてだな、
というのと泣きそうな顔をして笑う少年を見ると、笑いがこぼれた。
それを見て少年は驚いたと思ったら、馬鹿にされたことに気づいたのか、少しムッとして俺を見た。
「あ、あのさ。名前。何ていうの?」
親しくなったのに、
まだ名前を知らない。ずっと少年、少年なんて嫌だ。なので唐突だが尋ねた。
すると少年は嬉しそうに、
『 春先 新』
という文字を俺に向けた。
「はるさき、あらた?」
間違えていないだろうか、読み方を質問すると、笑顔で大きく体全体で頷いた。合っているようだ。春先新、か。そして、
『君は?』
と質問してきた。俺は
「瀬名、結城 (せな ゆうき)だよ。」
と答えた。春先は俺の名前をいうように、
せ、な、ゆ、う、き
と声の出ない口を動かした。
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