プラネタリウム
笑みがこぼれた。何だろう。弟ができたような気持ちだ。
いや、本当に弟はいるのだが、
何だろう、増えたような気持ち。
ああでも、弟なんて、
年上だったら失礼だろうか。
「高校生?」
もし年上だったらどうしよう。
今までのことすべてが失礼に当たってしまう。そう考えていると、
『高2だよ』
と。
なんだ、良かった。同じじゃないか。
「そうなの。同じだね。」
そう言うと春先は、
驚いたように笑った。
春先と話始めてから、1時間くらいか。
暗かった夜空に朝日が差し込んできた。俺は何も言わず家を飛び出してきたことを
思い出した。
「あー!やべえもう帰んないと」
急いでベンチを立つと、
春先がさみしそうにこっちをみる。
「また来るよ。またここで、会おう」
と、言うと
『分かった』
とスケッチブックを片手に持って、
俺が見えなくなるまで手を振った。
春先のような友達ができるのは初めてで、俺の周りなんて欲に飢えた奴等ばかりで。何だか新鮮な体験だった。
ああ、そういえば、高校を聞いておけば良かった。
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