プラネタリウム

次の日は水曜日だった。普段通り学校へ行くと、普段通り五月蝿いやつに絡まれる。
「おはよー！！お前、昨日家出したんだって？おれのかーちゃんが噂で聞いてきたよ。」
明るい黄色の頭が目に痛い。小さい頃からの馴染みだが、このうるささだけは許せない。朝から頭が痛くなるものだ。
「うるせぇよ。家出じゃねえしな。」
「えー！うっそつけよーー。」
五月蝿い良いっても聞かないのもコイツらしいといえばコイツらしい。許せないが。
「三橋くーん！みーはーしくん！！」
教室を分けるドアから、甲高い女子の声がする。なんだかんだ言ってコイツのファンは多いらしい。そこが一番許せなかった。
「あ、俺ちょい行ってくる！じゃあなー」
ヒラヒラと手を振って教室を出ていく。入れ違いに、また二人。
「あー！瀬名じゃん！アンタ家出したでしょ？」
「馬鹿だねぇー。」
耳と心に響く声。三橋よりもしつこく、厄介だ。
「ちげぇよ。」
あまり相手をしていても無駄な二人だ。根も葉もない噂ばかり広めやがる。いっそこいつらが恋人同士だ、なんて噂を広めてやろうか。
「えーあたし聞いたのになぁ」
「俺も俺も」
「しつこいぞ変な噂流しやがって。」
溜息混じりに言うと、「ごめーん」と能天気な返事が返ってくる。本当に流してやろうか。とまた心の中で悪態をついた。