あたしの恋愛事情
片思い
なのに、関係が変わるその日がきた。
「おいー瀬奈ー!」
「あ、せんせー」
「お前今暇だよな?」
「多忙です。」
「はい、これ頼んだ、裏庭の倉庫わかるよなあこに直してくるの頼むわ。」
「多忙なのにぃぃいいいー」
「じゃ、よろしく、」
てことで担任に捕まったあたしは
倉庫での用事を済まし教室に帰ろうとしてた。
あ~肩凝った。
て、あれ?
「隆……?」
裏庭の大きな木のそばに隆の姿がみえる。
だれかと一緒なのかな。?
そっと覗くと、
わぉ。
女の子と一緒。
でも彼女ではないな、
隆の彼女の顔は忘れるわけないし。
こくはく…かな。
どうしても、耳を澄まして聞こうとしてしまう。
あたしは角っこに隠れながら
無意識に耳をすませてみてた。
「なに、話って」
声のトーンが冷たく聞こえる。
「あの、私…///」
隆の間に立つ女の子は、
ほんとに恋する女の子で…
こんな場面あたしは何年見続けてきただろう。
自分何もできずにね・・・。
顔が真っかになって話す女の子は
やっぱり告白をしようとしてるみたい。
「…///好きなんです‼︎
北川くんのことが好きです!」
女の子はすごく必死なのに、隆はまったく動揺もせずに、
まっすぐ彼女を捉えてる。
隆…なんて答えるのかな、
彼女がいるっていうのかな、
わかってることだけど、この場を離れられない。
「ごめん…」
「…やっぱりだめですか??お友達からでも!!」
「ごめん。」
「どうしてですか!
この前彼女さんと別れたって聞きました!
そんなに私…だめですかっ??」
その女の子は少し涙声。
隆…彼女と別れたんだ。
そっか。そうなんだ。
「違う。俺好きなやつがいるんだ。」
「…え
そう…ですか。
どなたか教えてもらえませんか?最後に。」
隆に好きな人…?
あたしも知らなかった。
彼女と別れたことすら知らなかったんだから
当たり前だけど。
最近隆の知らないところがいっぱいあって…
寂しい。
「それは...
俺は10年も片思いしてんだ。
俺の好きなやつは……
瀬奈華蓮…だよ」
…!
え…?
どういうこと?
10年片思い?
隆の好きな人は瀬奈華蓮?
あた…し?
どゆこと?
この後の2人の会話はまったく頭に入ってこないくらい
頭の中はまっしろになった。
だって、隆は中学1のときに彼女ができて、
あたしのことなんて、
あたしのことなんて、
”ずっとお前とは友達だから”
頭の中に残る隆の言葉が浮かぶ。
あの言葉であたしは隆を諦めようと決心したのに。
友達からは進めないって確信したのに。
意味がわからない。
気がつくと走っていた。
全力で、さっきの隆の言葉から逃げるように
走って…走って…はしって…はしっ…
ドンッッッ!
「きゃっ‼︎」
「いってぇ…って華蓮??」
「…ぁ。愁…」
「どした??そんな走って、」
「何にもない‼︎何にも‼︎ごめん行くね‼︎」
「ちょっ!」
ぶつかって当たったひざがジンジンするけど、
あたしはとりあえず走った。
「はぁ…はぁ…」
久々にこんな走った。
あたしは教室に座り込んだ。
「ちょ、華蓮?どした??」
麻依が驚いた顔であたしをみてる。
そらそうだろう。
いきなり全力で走ってきたわけだし。
「…はぁ、麻依…どっどうしよう!」