人々はそれを恋と呼ぶ
好きになっちゃったんだ
多分こういう
ドキドキとか
幸せとか
誰かを自分よりも大切に想うこととか
全部ひっくるめて
人々は恋と呼ぶ
そして私は
高校生活最高最後の
恋をした
私、空野志乃はこの春高校三年生に進学した。
昼休み
桜が散る中庭で、いつものように二人でお弁当を食べていると、親友の透前尚子(通称ナオコ)は唐突にそんなことを訊いてきた。
「ねえ、空野ってさぁ 好きな人とか、いないの?」
「っげほっげほっ!!!」
食べていた卵焼きをむせてしまった。
「あ~怪しいよぉ~」
面白いものを見つけた というニヤニヤとしたナオコの顔。
これにはもう慣れたなぁ....
だって言うまで放してくれないパターンだもん
「まぁ....うん....居ないこともない....けど。」
大好きなあの人の顔をまた思い出す。
顔が熱くなるのが分かった。
「へぇ!!誰誰?何組?何部?私の知ってる子??っていうか、早く言ってよー!!」
キラキラした ナオコの目に負けて、口を開いた