人々はそれを恋と呼ぶ
一歩一歩
生徒たちはまだ登校して来ていない早い朝
寒い廊下も、火照る身体から体温を奪うのを遠慮しているみたいだ。
地学資料室のドアをノックする
「おはようございます三年の空野です ....揖斐谷先生 いらっしゃいますか?」
「入っていいよ」
その声にドキリと体が跳ねる
普段の会話の時より少し低い先生の声
恐る恐るドアを開けた
「気圧計お借りしてもいいですか?」
大好きな人の姿