サボテンの王子様
「サボテンくん‥ 辛いよ‥‥」
彼のことを考えて‥
あぁ、ダメ。
なんだか泣けてきた。
本当に好きだったんだな〜
彼のこと‥
胸のあたりがしくしく痛む。
「‥恋愛対象にすら見られてなかった」
目からぼたぼたと涙が伝う。
もうこれでは目が腫れて明日学校に行けないかもしれない。
そう思っても、彼との些細な楽しかったことを思い出してしまって
涙を止めることができなかった。
ぼたぼたとサボテンにも陽子の涙が降り注ぐ。
「あ! ごめん!サボテンくん! 昨日水をあげたばっかりなのにね」
あわててサボテンを少し離したが、サボテンはすでにびちょびちょだった。
サボテンにすら迷惑かけるなんて。
さらに涙が出てくる。
もう何もかも嫌。
「こんな時サボテンくんに抱きつけたら良かったのに‥ よりによってトゲなんて生やしちゃってさ」
手に持っているサボテンに無理難題。