貴女は信じますか?
人形は二人が付き合いだした夏美の最初の誕生日に健吾が買った物だった。
「それ貰った時夏美凄く喜んでた、私今でもその時の顔忘れられない」
「夏美のお袋さんに形見分けって訳じゃないけど貰ったんだ。暫くの間だけ傍に置いてあげてくれって。でもこれあいつのお気に入りだったし、寂しがると可哀想だから明日棺に一緒に入れてあげようかと思ってさ」
「うん、それが良いかもしれない、夏美その人形だけは本当に大切にしてたから。でも健ちゃんの傍に居たいのかな?暫くは。ね、どうなの?夏美」
しおりはそう人形に話し掛けた。
「まあ、明日までに考えるよ、明日の気持ち次第で」
「そうだね、健ちゃんが決めた方が夏美も喜ぶかもしれない」
しかし次の日突然の高熱で健吾は夏美の告別式に行く事が出来なかった。そしてその人形は必然的に健吾の手元に残る事となった。
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