喋らないキミへの幸せ
声を出さない私は桐ケ谷の肩をトントンとたたいた。



「ん…。」



机にうつぶせて寝ていた桐ケ谷が横にいる私に顔を向けた。



『もう6時過ぎてますよ。』



「あーほんとだ。起こしてくれてありがとう。」



『いえ』



桐ケ谷はよろよろと教室を出て行った。



私は自分の席へ行き鞄を取り、帰る準備をした。



鞄を肩にかけ教室を出て下駄箱に行くとそこで桐ケ谷が目をつぶってうとうとしていた。



あれ、帰ってない。しかもまた寝てる。



なんでだろ。



また私は桐ケ谷の肩をたたいた。



「あ…ごめん。ありがと。」
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