問題児のヒミツ[短編]
Episode 3
「帰ろーぜ日南」
「あ、ちょっと待って。じゃあね、花凛!」
「ばいばーい!」
ぐっ、と花凛にガッツポーズで送られ、あたしたちは教室を出た。
「今日部活ねぇの?」
斜め前を歩く鈴谷が振り向かずに聞いてくる。
「ないからこの時間なんでしょ」
「それもそーか」
なんか、花凛といるときの鈴谷と、あたしといるときの鈴谷って態度ちがくない?
花凛といるときはもっとハイテンションキャラな気がするんだけど。
「ん」
「え?ありがと」
下駄箱につくと、一足先に行き、あたしの靴を出しておいてくれる。
な、な、なんか優しすぎて落ち着かない。
鈴谷は……あたしが好きなの?