問題児のヒミツ[短編]
「じゃあ、あたしここだから」
あたしは自宅の前で立ち止まる。
結局大した会話もないまま、家についた。
話って、なんだったんだろう。
「知ってる」
「は?」
「ここがお前ん家なことぐらい、昔から知ってる」
は、は?
鈴谷がなにを言いたいのかわからない。
その心の内が知りたくて、目を見ようとすると、顔を背けられた。
「い、意味わかんないんだけど」
「だから……」
と、鈴谷はなにかを言いかけると、ガサゴソとカバンを漁って何かを取り出した。
ん??メガネ?
鈴谷がひょい、とメガネをかけ、立てていた金色の髪を手でとかして、平らにする。
なにがなんだかよくわからなくて、その光景を見つめていたけど、
その格好になった鈴谷に、なにか引っ掛かる。
なんだろう?
ここまで出かかってるのに。
「はぁ~~。まだわかんねぇの?」
「え、え、どういうこと?なに?」
鈴谷は、はあぁぁ、と盛大にため息を吐いたあと、あたしに寄ってきた。