問題児のヒミツ[短編]
「そっそんな頭の色してよく言うわ!気づくわけないでしょ!?」
「え~、そうかぁ?俺は雅のことすぐわかったのになぁ」
……いつの間にか、呼び捨てだし。
ていうか、もう正直やめてほしい、恥ずかしすぎる。
なにコレ拷問?ってレベル。
だって、……鈴谷は、あたしの初恋の相手。
中学前半ぐらいまでは、迎えに来てくれる、なんて信じていたけどもう諦めるようになっていた。
というか、忘れていった。
「だいたい、雫、なんてそうそうある名前じゃねぇだろ?そこでわかるだろ」
「だって……存在自体忘れてたし」
「なっ!!」
あたしが冗談半分にそう言うと、鈴谷はむす、と下を向いてしまった。
あれ、本気にしちゃったの?
ま、まぁ、事実だけど……。
「鈴谷?……わっ……」
鈴谷の顔を覗きこもうと近づくと、引き寄せられ、そのまま抱き締められてしまった。
かぁぁ、と顔の体温が急激に上がるのがわかる。