問題児のヒミツ[短編]
Episode 4
あたしは玄関を開け、カバンを放り投げると鈴谷が走っていった方向に走った。
さっきの出来事から、2分もたってないはず、なのに。
「な、なんでいないの、足早すぎでしょ!?」
だんだん辺りも暗くなり始める。
まだ、紅い夕日があたしの行く道を照らしてくれているのは幸いだけど。
「もう、ばか……っ」
あたしだって、雫のこと、好きだったよ、待ってたよ。
だけど、あんなの子供の約束だと思ってた、待ってるのも辛かった。
好きだった、じゃないな。
だって今も好きだから。
「!!、いた!」
雫が走っていったのは学校と逆の道で、一本道。
ずっと走った先に、一人で歩く雫が見えた。
まだあたしが来ていることには気づいてないみたいだ。
あたしはなるべく足音をたてないように走って、雫との距離を縮めた。
そう、今のがあたしたちの心の距離のように。