問題児のヒミツ[短編]
しかも、困ったことがもうひとつ。
それは昨日のこと。
昨日の帰り、当番だった掃除の後、花凛と下駄箱に行った。
靴を出そうと思って、靴箱の戸を引いたら、靴の上に手紙が置いてあって。
いや、手紙なんてキレイなもんじゃなかった。
ルーズリーフをびりっ!って切って、内容が一行、下に名前。
『俺と付き合えよ』
そう一文。
差出人は、あの、鈴谷雫。
なんの冗談だ、と思ってあたしは放置して今に至るわけだけど。
特になんの接触も、
「なぁ日南」
……接触、なう。
「……なに?」
ちょ、あたしの机に座らないで!
なんだこの人は突然!
初めて話すっていうのに!
「俺のラブレターへの返事は?」
そ、その顔でラブレター言うなし。
あやうく吹き出すとこだった。
「レターって感じじゃなかったけど?」
「はぁ!?あれのどこがレターじゃねぇの!正真正銘、紙だろ!?」
「いや、あのねぇ、レターって手紙だし!?紙はペーパーだし!」
ガタン、と思わず席を立って抗議する。
いやいや、抗議ってなんだ、なにしてんのあたしは。
でももう止まらない。
「紙に文章書いて渡したらそれはもう手紙だろ!!」
「あんなのただの命令書いた紙じゃん!」
「なんだと!?」
「冗談なら私じゃなくて、他の人にしてくださいー!!」