問題児のヒミツ[短編]
残り、あと数メートルになるとさすがに雫も気づいたらしく、驚いた顔してあたしを振り返った。
また走り出す雫。
「……ちょ、っ、待っ、て!」
もう息も絶え絶え。
苦しくてしょうがない。
そんな状態のあたしを見ても雫は足を止めなかった。
あたしはちょっとカチン、ときて最後の力で全力疾走した。
「ま、てっつの!」
「うゎ!」
あたしは雫の背中に抱きついて雫を止めた。
「はぁ……、疲れた……捕まえた……っ」