問題児のヒミツ[短編]
「あ、みやおはよーう!って、なんでそんな疲れきってんの」
「ちょっと色々あって」
教室に入ると、もう結構な人数がいた。
遅刻しなくてよかった。
雫が無駄にキスしようとするから。
ちなみに雫はトイレに行ってて教室には一緒に来なかった。
「で?告られた?」
「告られたってか……」
あたしは昨日のことをちょいちょい削って話した。
「へぇえ、やっぱ付き合ったのか。しかも幼馴染みだったとは。
なんでもっと早く気づかないの、もう半年は同じクラスなのに」
やっぱりそれ言われた。
でも、あたしはそれを想定して、スマホである写真を撮ってきていた。
「コレ見てよ」
「?」
あたしが見せたのは、7歳のときに二人で撮った写真。
雫は今と違って黒髪で、銀縁のメガネをかけている。
おまけに当時はあたしのほうが背が高かったし、雫は泣き虫だった。
あ、泣き虫は今もかも。
「うわっ、ちっちゃいねー!これじゃちょっとわかんないかも?いやでも、目元が……」
「なに?俺らの写真?」
「うわっ、雫」
びっくりした、気配消してこないでよ。
「あ、おはよっす鈴谷サン」
「おはよ、花凛ちゃん」