問題児のヒミツ[短編]




「…、離し…っ!「こいつ、俺専属なんだけど」」


背後から、とてつもなく低い声が聞こえた。


「雫…?」


「あぁん!?俺にケチつけんのかよ!?」

「うるせぇな、黙って雅の腕離せ」


「勝己、やめとけ、もう行こうぜ」

「ちっ」


バッ、と思い切り振り払われて、思わず雫の胸に倒れ込んでしまった。


「大丈夫か?雅」


「別に平気だったし」


さっきまでのイライラも溜まってて、あたしはすぐに雫から離れて歩き出した。


「ちょ、おい、なに怒ってんだよ」

「…」


放っておいたくせになによ、こんなピンチの時に来て。

ふいを衝かれたもいいところ。


「なぁ、雅?わかんねぇけど、なんだよ、なんかしたか?」


「付いてこないで……うわっ!?」


突然、体が浮いたかと思うと雫にお姫様抱っこされていた。


「な、なにしてんのこんなとこで!降ろして!」


「黙ってろ、舌噛むぞ」


雫はそのまま歩いて、立ち入り禁止の看板がある教室のほうへ歩いていく。


< 31 / 35 >

この作品をシェア

pagetop