問題児のヒミツ[短編]
「…、離し…っ!「こいつ、俺専属なんだけど」」
背後から、とてつもなく低い声が聞こえた。
「雫…?」
「あぁん!?俺にケチつけんのかよ!?」
「うるせぇな、黙って雅の腕離せ」
「勝己、やめとけ、もう行こうぜ」
「ちっ」
バッ、と思い切り振り払われて、思わず雫の胸に倒れ込んでしまった。
「大丈夫か?雅」
「別に平気だったし」
さっきまでのイライラも溜まってて、あたしはすぐに雫から離れて歩き出した。
「ちょ、おい、なに怒ってんだよ」
「…」
放っておいたくせになによ、こんなピンチの時に来て。
ふいを衝かれたもいいところ。
「なぁ、雅?わかんねぇけど、なんだよ、なんかしたか?」
「付いてこないで……うわっ!?」
突然、体が浮いたかと思うと雫にお姫様抱っこされていた。
「な、なにしてんのこんなとこで!降ろして!」
「黙ってろ、舌噛むぞ」
雫はそのまま歩いて、立ち入り禁止の看板がある教室のほうへ歩いていく。