問題児のヒミツ[短編]



そしてガラッと戸を開けると中にはいった。


「…んっ!」


近くの椅子に降ろされた瞬間、塞がれる唇。


なにがなんだかわからない。

イライラまでふっ飛んでいってしまった。



「…なぁ、俺が会いに行かなかったから怒ってんだろ?」


「…ちがうし」

「嘘つけ。…はぁ…」


「なにそのため息、あたしもう教室帰る、どいて!」


「だから、俺は――…!」


そのあとの雫の言葉に、ぽかん、としてしまった。



その、会いに来なかった理由。


実行委員会の文化祭後の仕事をなくすために、代わりに今の時間の実行委員の仕事を全部やってきたらしい。

放課後にあたしといたいから、という理由で。

あたしの分まで。


みんなに頼み込んでまで。



「ば、ばかなの?」




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