2人だけの秘密。
夢の中の君
「愛してるよ」
君はあたしに会う度、いつも決まってそう言う。
そしてその後は触れるだけのキスをして、
照れた様子であたしに問いかけてくるの。
「鏡子は?」
「え、」
「鏡子は、どうなの?」
そう聞くと、あたしの顔を覗き込んでくる。
そんなの決まってるじゃない。
あたしだって、君のこと…
「愛してるよ」
あたしがそう言うと、君は嬉しそうな顔をして見せてくれた。
……でもね、あたしはいつも君に会う度に、聞きそびれるの。
決まって、聞くのを忘れてしまう。
…――「“君”は、誰?」――…
………そう。あたしは、
目の前の“君”が何処の誰なのか、全く知らない。
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