2人だけの秘密。
「!!」
「毎日毎日失敗ばかりなのに、柳瀬店長はあなたにだけやたら甘いじゃない。
それって、あなたが裏で柳瀬店長に何かしてあげてるからなんじゃなくて?」
吉河さんがそう言うと、夏木さんも同意をするようにその言葉に黙って頷く。
………確かに、あたしは修史さんに仕事のことで怒られたことってあんまりない。
毎回あたしが失敗して落ち込んでいると、「大丈夫だよ」って優しい声をかけてくれるし。
でも、それがエコヒイキだなんて…そんなことは思いたくない。
あたしはそう思うと、吉河さんと夏木さんに言った。
「っ…あたしはそんなことしてません!エコヒイキも単なる勘違いです!
だって修史さんはあたしを助けてくれて…」
「“修史さん”?」
「!!」
あたしは必死にそう言うけど、その時思わず修史さんのことを普段通りに二人の目の前で呼んでしまい、慌てて口を押さえる。
そんなあたしに、すかさず夏木さんと吉河さんが眉間にシワを寄せてそう反応したけれど…
「っ…と、とにかく、あたしと柳瀬店長は付き合ってませんから!」
明らかに見えすいた嘘を吐いて、あたしは独りその場を後にした―――…。