2人だけの秘密。


……………



その夜。

あたしは仕事後に、絵里奈と二人で居酒屋に来ていた。

そしていろんな料理を前にしてため息を吐くあたしに、絵里奈が言う。



「だーいじょーぶだって、鏡子。そんな気にしなくたって、明日になったら夏木さんも吉河さんもそんなこと忘れてるよ」

「………そうかな」



実は、今朝に夏木さんと吉河さんから言われたことが二人の口から絵里奈にも渡り、

だけど絵里奈はそういうことは気にしないタイプだから、今こうやってあたしを居酒屋まで連れてきて慰めてくれている。

ちなみに、絵里奈にはあたしが修史さんと付き合い始めたことも伝えておいた。

「他の人達には絶対内緒だよ!」と念も押して。


……まぁあまり意味がないかもしれないけど。




すると、あたしがしばらく落ち込んでると絵里奈が焼き鳥を手にしながら言った。



「じゃあ柳瀬店長に、夏木さんと吉河さんのことを言って助けてもらえば?その方が手っ取り早くない?」

「でも…迷惑かけたくないし、」

「だからって、何も言わないのはよくないよ」



絵里奈はそう言うと、焼き鳥を一口、口に含む。


そんな絵里奈を前に、あたしはしばらく頭を抱えた。




…………迷惑、ねぇ。


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