2人だけの秘密。
あたしがそう言うと、目の前の修史さんが「…そう、」と少し寂しそうな顔をする。
「でも…平気?もしまた鏡子のところに誰か来たりしたら…」
「まぁ、少し不安はありますけど……でも大丈夫です!いつまでも修史さんに甘えているわけにはいきませんから、」
そう言って、あたしは心配そうにする修史さんに向かって笑顔を浮かべた。
すると、修史さんがあたしに聞こえないような小さな声で何かを呟く。
「………俺はずっと甘えててほしいけど」
「?今、何て…」
「何でもない、」
「?」
修史さんはそう言ってあたしから視線を逸らすと、またパソコンと向き合い始めた。
……もしかして、仕事してるのかな。
あたしはそう思うとこれ以上は何も口に出せなくなって、本当に言わなきゃいけないだろう夏木さんと吉河さんのことを心の奥底にし舞い込む。
まぁ、また後で言えばいいか。
そう思って、仕事中の修史さんに背を向けてお風呂場に向かった。
………しかし、この時のあたしはまだ知らなかった。
このことをキッカケに、まさか修史さんと離れなきゃいけないことになるなんて。
この時は、全く予想もしていなかったんだ―――…。