2人だけの秘密。
でも何だか恥ずかしくて、あたしは素直になれない。
「っ…そ、そんなことはいいですから、早く行きますよ」
そしてそう言うと、修史さんの手を握ってその場を後にしようとした。
本当は、言いたいことがいっぱいあるのに…。
だけど…
「…!」
修史さんはふいにそんなあたしをその場に引き留めると、言った。
「…鏡子、」
「?」
「ずっと…ずーっと一緒にいようね」
そう言って、背後からあたしを抱きしめる。
そのことに、思わず顔が熱くなっていく。
ちょ、みんな見てる…見てるからっ…!
それでもその言葉が嬉しくて、あたしは顔がニヤけながらも今度は素直に頷いた。
「あたし、ずーっと修史さんの傍にいます」
そして確かにそう言って、二人の幸せを信じた。
………信じていた、はずだった。
この時までは。