2人だけの秘密。
…………
それからしばらくして、帰る俺を鏡子や祐くん、ミキちゃんが見送ってくれた。
…でも、鏡子はずっと俯いたまま顔を上げてくれない。
最後に鏡子の顔を見たいけれど、それも叶わないまま祐くんに言った。
「じゃあ、失礼します」
俺がそう言うと、祐くんがニッコリ笑顔で言う。
「気を付けて帰って下さいね」
そう言って、俺に手を振った。
…悔しいけど、祐くんは良い奴だ。
祐くんなら、昔荒れてた俺よりもはるかに鏡子を大事にしてくれるだろう。
俺はその言葉に頷くと、祐くんの隣にいる鏡子に言った。
「鏡子、幸せにね」
「…」
その言葉に、鏡子が黙って頷く。
それを見ると、俺はふいに腕時計に視線を移した。
………あぁ、もう時間だ。
行かなきゃ。
本当は離れたくないけど、俺は再度祐くんに頭を下げると、三人に背を向けた。
信じていた恋が、その瞬間無残に幕を閉じた。
…───はずだった。