2人だけの秘密。
でも…
「…?」
しばらく歩くと、その瞬間後ろからぎこちない足音が聞こえてきた。
その足音を不思議に思い、俺が後ろを振り向こうとしたら……
「!」
何故か突如、俺の前にミキちゃんが回りこんできた。
…なんで、ミキちゃんが?
ミキちゃんと目が合った瞬間、ミキちゃんは俺を見て少し怯えるような顔をする。
どうしたのかと思っていたら、その時震える声でミキちゃんが俺に言った。
「…ないで」
「?」
「ママのこと泣かさないでっ…」
そう言って、その小さな手で俺の足を叩いた。
…“泣かさないで”…?
その言葉に首を傾げていたら、祐くんが慌てた様子で俺達の元に駆け寄ってくる。
「ミキちゃんっ…」
……ミキちゃんの体は、震えている。
それに、目に涙をいっぱいに溜めているその姿を見て、俺はようやく気がついた。
ミキちゃんは、鏡子を庇ったんだ。
俺が、鏡子を泣かせたと思って…。
その小さな体で、大きな勇気を出して…。
俺はそう思うと、ゆっくり後ろを振り向いた。