2人だけの秘密。
そう思って泣いていると、ミキちゃんが心配そうに言った。
「ママ、どうして泣いてるの?」
「…~っ、」
「いじめられたの?」
ミキちゃんはあたしにそう問いかけると、首を傾げる。
でもあたしは泣いていて、なかなか声にならない。
「ミキちゃん、ママはね…」
代わりに祐くんが口を開いたら、次の瞬間ミキちゃんは…
「!!ミキちゃんっ…」
まだ慣れない足で、突然修史さんのところへ走り出した。
走っちゃ危ないって、いつも注意してるのに。
慌てて追いかけようとしたら、ミキちゃんが修史さんの前に回り込んで、言った。
「…ないで」
「?」
「ママのこと泣かさないでっ…」
そう言って、小さな手で修史さんの足を叩く。
「ミキちゃんっ…」
その様子を見た祐くんが、慌ててミキちゃんの元に駆け寄って、修史さんに謝った。
「すみません、いきなり!」
「いえ…」
「…、」
涙で視界がぼやけていても、あたしにははっきりわかった。
……あ、そうか。ミキちゃんは、あたしが修史さんにいじめられて泣いてるって勘違いしたんだ。
そして、そう理解したその直後…
ふいに修史さんと、目が合った。