2人だけの秘密。


そしてそれだけを言うと、抱きしめていた体を離して、真っ直ぐにあたしを見つめながら言葉を続ける。



「…さっきも言っただろ?鏡子は悪くない。だって俺にも非があるし。

俺は、二年前鏡子の異変に気付いていながらも、仕事が忙しいのを理由に何もしてやれなかった。

だから、謝らなきゃいけないのは俺の方だよ」


「…」

「それにね、ほんとのこと言うと、安心してんだ」

「?」


「だって鏡子は、いくら元カレの子とはいえ俺を犠牲にしてまで生まれてくる命を殺さずにいてくれた。

そんなの怒れるわけないよ。小さな命を優先して何が悪い、」


「!」

「…だから鏡子は何も悪くない。結婚も、いいと思う。祐くんなら鏡子を大事にしてくれると思うし」



修史さんはそこまで言うと、優しく微笑んでその場から立ち上がった。

そして、涙でぐちゃぐちゃのあたしの頭を撫でて言う。



「じゃあね、鏡子。そろそろ本当に行かなきゃ。俺幸せだったよ、鏡子と一緒にいて」

「!」

「…お幸せに、」



そう言って、ふいに腕時計を見て傍の鞄を持つ。


でも…嫌だ。行ってほしくない。



「バイバイ」



イヤ!行かないでっ…!!



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