2人だけの秘密。
そう思った瞬間…
「!……鏡子…?」
「…っ、」
あたしは咄嗟に、修史さんを後ろから抱きしめてそれを引き留めた。
すると、そんなあたしに何も知らない修史さんが困ったようにして言う。
「…ダメだよ、鏡子。祐くんに悪…」
「してないっ…」
「…え?」
「ほんとはあたし、結婚してないっ…」
「!!」
そう言うと、修史さんをより強く抱きしめた。
「…え…してない?って…」
「ごめんなさい。あれ、嘘。ミキちゃんがいるからお互いにもう諦めなきゃって思って吐いた嘘で…。
祐くんはただのイトコだし、あたしは修史さん以上に好きになった人っていなかったよ、」
あたしがそう言ってもう一度「ごめんなさい」って謝ると、修史さんはあたしの腕をほどいてあたしの方を振り向いた。
そして、あたしを愛おしそうに見つめながら左頬に手を伸ばす。
その手に少しくすぐったさを感じていたら、修史さんが言った。
「それ…ほんと?信じていいの? 」
その問いかけに、あたしは黙って頷く。
「じゃあ、鏡子はまた俺の傍にいてくれるってこと?」
修史さんが少し不安げにそう聞くから、あたしは左頬に伸びている修史さんの手に自分の手を重ねて言った。
「いるよ、ずっと」
「!」
「あたし、修史さんのこと大好きだから」