2人だけの秘密。
「結婚指輪。まだ渡せてなかったからさ」
「…~っ、」
結婚指輪だった。
あたしが嬉しすぎて言葉を無くしていると、修史さんがあたしの左手をとって、それをはめる。
幸せすぎるそれの存在に、あたしは思わず泣きそうになった。
君は、夢で見ていた時からいつもそう。
いつもいつもいつもいつも…
あたしに笑顔をくれるね。
…そして、もう一つ…
「鏡子、」
「?」
「愛してるよ」
君はあたしに会う度、いつも決まってそう言う。
そしてその後は触れるだけのキスをして、
照れた様子であたしに問いかけてくるの。
「鏡子は?」
「え、」
「鏡子は、どうなの?」
そう聞くと、あたしの顔を覗き込んでくる。
そんなの決まってるじゃない。
あたしだって、君のこと…
「愛してるよ」
あたしがそう言うと、君は嬉しそうな顔をして見せてくれた―――…。
『2人だけの秘密。』
―完―