2人だけの秘密。


「!」



その時ふいに、修史さんの携帯が鳴って電話がかかってきた。

その音に修史さんをまた見遣ると、修史さんは読んでいた漫画を閉じて携帯を手に取る。

そして、ディスプレイを見ると…



「……、」



少しだけ何かを考えて、着信を拒否すると電話を切った。



「…出ないの?」



そんな修史さんを見ていたあたしは、思わずそう問いかけて目をぱちくりさせる。

すると、あたしの言葉に修史さんは…



「上司からだし、せっかくの休みなのに会社に呼ばれると嫌だから、」



と苦笑いを浮かべてまた漫画を開いた。


……でも何か、怪しい。


そう思いながらも、あたしはそれ以上何も口にはせずに修史さんに背を向ける。

必死で平然を装うけど、頭の隅にある“嫌な予感”はずっと離れなくて…。


しかし、そう思いつつモヤモヤしたまま家事をしていたら、その時ミキちゃんが修史さんに言った。



「ぱぱー」

「うん?」

「遊んで、」


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