2人だけの秘密。
「!」
「何処にも行かないでっ…」
あたしはそう言うと、ミキちゃんが見ているにもかかわらず修史さんに正面から抱きつく。
「!…ちょ、鏡子っ…ミキちゃんが見てるからっ…」
「…、」
そんなあたしに修史さんは慌ててそう言うけれど、でも、行かせたくない気持ちは消えないし。
むしろそれはだんだん強くなっていく。
すると、いつまでもそうしていたら…ミキちゃんがあたしの顔を心配そうに覗き込むようにして言った。
「まま、どうしたの?」
「…!」
「どこか痛いの?」
そう問いかけて、首を傾げる。
…ミキちゃん…
……あたし、何してるんだろう。ミキちゃんに心配かけるなんて…。
しかし、そう思いながらも修史さんに抱きついたままでいると、修史さんがあたしの頭に手を遣って言った。
「どした?鏡子、」
「!」
「行かないで、とか…鏡子らしくないね」
そう言って、そのままあたしの頭を撫でる。