2人だけの秘密。
何て夢がないの。
修史さんはたまに、こういうことがある。
女の子の気持ちを理解してくれない。
あたしはそんな修史さんを見ながら、負けじと言った。
「…たまにはそういうのも、いいじゃん」
「どうしたの、ポッキーゲームにこだわるね」
「別にこだわってるわけじゃ、」
「えー?ほんとかなぁ」
あたしがそう言うと、修史さんはリモコンを目の前に置いて、悪戯顔であたしを見る。
だからあたしはまた、続けて甘いおねだり。
「ね、お願い。たまには違った感じでドキドキしたい」
「!」
そう言って、手に持っていたポッキーを自身の口に加えて、それを修史さんに向ける。
…これでも無理だったら、何だか恥ずかしいな。
そう思っていたら…
「ワガママだな、鏡子ちゃんは」
ふいに修史さんはそう言って、ポッキーの反対側を口に含んだ。
「!」
そしてその瞬間から、少しずつお互いの顔が近づいていく。
15センチもない短いポッキーはキスまでの道のりも本当にすぐで、あっという間に唇が重なった。
「…っ…」
それは甘いチョコの味。
唇を離すと、修史さんは「ポッキーうまっ」と違う言葉を口にする。
「ドキドキしたでしょ?」
そしてあたしはそう聞くけれど、修史さんはイマイチ納得がいかないような顔をして言う。
「…んん…どうだろ」
「え、」
「どこが楽しいのかわからないな、正直」
「!」
そう言って、はにかむように笑った。
今日の修史さんは何故か、素直じゃない。
【お菓子で試す甘いゲーム/おまけ①】
(…なんか修史さん顔赤くない?)
(え…いや気のせいだから)
(もう一回する?)
(うん!!…いや、いい!もういい!)