2人だけの秘密。


「!」



その着信に、恐る恐る携帯に手を伸ばす。

画面を見ると、表示されているのは「広喜くん」の名前。

出なければいいのに、バカなあたしは素直にそれに出てしまった。



「…もしもし…?」



震える声でそう言うと、電話の向こうで広喜くんが言う。



「鏡子、さっきお前に言うの忘れてたんだけど、」

「?」

「来週の金曜、俺の友達連れてそっち行くから」

「え…」



…友達…?



「いや、友達にこの前お前の話したらすげー会いたがっちゃってさ。 ヤりたいっつってんだけど、いいよな?」

「!?」



広喜くんはそう言うと、「その日は今日みたいに残業なんかすんなよ」って言葉を付け足す。

だけどそれはさすがに我慢が出来ないあたしは、電話越しに首を横に振って言った。



「っ…イヤ!それだけは絶対に嫌だ!」



でもあたしがそう言うと、広喜くんは不機嫌そうに言う。



「お前さ、俺のこと好きなんだろ?だったら言うこと聞けよ」

「でもっ…」

「ヤらねぇっつーんなら今すぐ別れてもいいんだぞ」

「!!」


< 35 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop