2人だけの秘密。
「!」
その着信に、恐る恐る携帯に手を伸ばす。
画面を見ると、表示されているのは「広喜くん」の名前。
出なければいいのに、バカなあたしは素直にそれに出てしまった。
「…もしもし…?」
震える声でそう言うと、電話の向こうで広喜くんが言う。
「鏡子、さっきお前に言うの忘れてたんだけど、」
「?」
「来週の金曜、俺の友達連れてそっち行くから」
「え…」
…友達…?
「いや、友達にこの前お前の話したらすげー会いたがっちゃってさ。 ヤりたいっつってんだけど、いいよな?」
「!?」
広喜くんはそう言うと、「その日は今日みたいに残業なんかすんなよ」って言葉を付け足す。
だけどそれはさすがに我慢が出来ないあたしは、電話越しに首を横に振って言った。
「っ…イヤ!それだけは絶対に嫌だ!」
でもあたしがそう言うと、広喜くんは不機嫌そうに言う。
「お前さ、俺のこと好きなんだろ?だったら言うこと聞けよ」
「でもっ…」
「ヤらねぇっつーんなら今すぐ別れてもいいんだぞ」
「!!」