2人だけの秘密。
柳瀬店長と目が合った途端、あたしは…
ヤバイッ!!
って、そう思ったけど…柳瀬店長はそんなあたしに自然な笑顔で言った。
「…あ、おはよう、五十嵐さん」
「!」
そう言って、売り場を後にして行く。
「お、おはようございます…」
…あれ?
なんか、普通じゃん。変に慌てちゃったあたしがバカみたい…。
柳瀬店長…昨日のアレは、何だったの?
聞けるものならそう聞いてしまいたいけど、相手は上司だし、しかも昨日知り合ったばかり。
あたしがそんな柳瀬店長の背中を見つめていたら、既に売り場にいた吉河さんがため息混じりに言った。
「…あーあ…今日も一日が始まるのねぇ」
「……」
だけど、この時のあたしはまだ知らなかった。
今までずっと夢の中で見てきていた世界が、
これからだんだん現実に近づこうとしていることに――――…。