2人だけの秘密。


柳瀬店長にキスをされそうになったあの日から、あたしは柳瀬店長とはまともに話せていない。

顔を合わせる度にいちいち意識しちゃうし、あの日の夜のことを思い出してしまう。

でも、何故か一方の柳瀬店長は全く気にしていない様子で、ほぼ毎日あたしに話しかけてきたりする。

まるで…あのことが最初からなかったかのように。

そんななか、やっと翌日になって居酒屋で予定通り歓迎会が行われた。

遅番だったあたしは夏木さんと一緒に閉店後にその居酒屋に行くと、柳瀬店長と絵里奈はもう既に自分の分のビールを注文していた。

ちなみに吉河さんはお酒が苦手らしく、テーブルにはウーロン茶が置かれてある。

あたしと夏木さんがその座敷に入るなり、みんなは「お疲れ」って声をかけてくれた。



「きゃー!あたし、柳瀬店長の隣がいいですっ」



夏木さんは柳瀬店長を見てそう言うと、積極的に柳瀬店長の隣へと駆け寄って行く。

そんな夏木さんを横目にあたしが絵里奈の隣に座ろうとしたら、柳瀬店長が笑顔で言った。



「きょーこちゃんも、俺の隣おいでよ」

「!?」


< 39 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop