2人だけの秘密。
あんパンを食べながら、あたしはふとカレンダーに目を遣った。
今日は平日。つい最近まで寒くて仕方なかったのに、もうすぐ春が来るらしい。
独り暮らしを始めて、気が付けばもう四年。
前は実家に暇さえあれば帰っていたけど、今はもうこの街にすっかり慣れたからかあまり帰ることはなくなった。
でもその一番の理由がきっと「広喜くんがいるから」で、広喜くんがいなかったら、
あたしは今頃もしかしたら実家に帰っていたかもしれない。
だけど、最近は凄く「寂しい」ばかり。
最初の頃はマメにしてくれていた電話やメールも、広喜くんは今ではパタリとしなくなった。
たまにあたしから電話をかけてみてもほとんど繋がらなくて、
いつも留守電に切り替わる。
寂しいけど、メールをしたら時間が経っても返信は絶対に返って来るし、
逢えたら逢えたでちゃんと甘えてきてくれる。
だから、きっと上手くいってる方だと思うんだ。
…たまに、「まるで片思いみたい」なんて思っちゃう時があるけど。
それでもあたしは本当のことには気づかないフリをして、
菓子パンを食べ終わると袋をゴミ箱に捨てた。
それにしても…夢の中で浮気なんて。
何度見ても、あたしってどうかしてるな。