2人だけの秘密。
その手にドキッとしていたら、すぐに一階に到着して外に出る。
少し肌寒いそこに出て追い付かれないように二人で走ると、やがて柳瀬店長の車まで来た。
後ろから広喜くん達がバタバタと追いかけて来るような足音が聞こえてきて、あたしは物凄く怯えてしまったけど…、
車に乗るなり柳瀬店長がすぐに車を発進させてくれたから、なんとか逃げきることが出来た。
「はぁ…」
「危なかったね、」
そして柳瀬店長はあたしの安堵のため息を聞いてそう言うと、前を向いたまま苦笑いを浮かべる。
一時は「もうダメだ」って思ったけど、良かった。なんとか助かった。
そう思いながら心を落ち着かせていたら、柳瀬店長が言った。
「…とりあえず、今日は俺んとこおいでよ」
「!」
「だって、しばらくは帰れないでしょ?」
その優しい声と言葉に、あたしは少し黙ったあと頷いて言う。
「…はい。ありがとうございます、」
なんだか、柳瀬店長には仕事以外でいっぱい迷惑をかけちゃってる気がするなぁ…。
そんなことを考えていると、しばらくして柳瀬店長のマンションに到着した。