2人だけの秘密。
…まぁ、夏木さんあたりなら喜んで呼んじゃいそうだけど…。
あたしは、無理。
だけど、あたしがそう言うと、柳瀬店長はしばらく黙ったあとふいにあたしに手招きをして言った。
「鏡子、こっちおいで」
「!」
その優しい口調に、あたしは戸惑いながらも少しずつ近づいていく。
内心ドキドキしながらソファーに座ると、柳瀬店長が言った。
「…俺ね、鏡子が思ってるよりも鏡子のことがすっごく大事だし、守ってあげたいなって思ってるの」
「…」
「それに最近鏡子元気なかったし、心配してたんだ…。でも、さっきのでわかったよ。元気なかったのって、彼氏のせいだよね?」
柳瀬店長はそう問いかけると、あたしの顔を覗き込む。
その時にしっかり合ってしまった視線にまたしてもドキッとしてしまっていたら、柳瀬店長が言葉を続けて言った。
「俺、もっと鏡子のことが知りたい」
「!」
「今の上司と部下っていう生ぬるい関係は嫌なんだよ。もっと鏡子に近づきたいって、いつも思ってる」
そう言って、タバコを灰皿に潰してあたしとの距離を縮める。
その行動にすら、あたしはドキドキしてたまんない。
心臓が爆発しちゃいそう、
だって、あたしは知らないの。
今までこんなふうに男の人に優しく迫られたことって、無かったから。
そんなことを思いながらも緊張しまくっていたら、柳瀬店長が畳み掛けるように言った。
「夢の中で会ったから、とか…そんなのもう関係ない。
俺は、鏡子が好きだよ」