2人だけの秘密。



******



それから数日が経って、ついに新しい店長が来る前日になった。

今日は数週間ぶりに広喜くんがマンションに泊りに来ていて、

あたしは夜に広喜くんとカレーを食べながら、ふと思い出したように言った。



「そういえばさ、」

「うん?」

「あたしのとこのおもちゃ屋に、新しい店長が来るんだって」

「へー、そうなんだ」

「明日から来るらしいんだけど、あたしミスしてばっかだから厳しかったら辛いな…」



あたしがそう言うと、広喜くんが笑って言う。



「え、でも今は売り場にはほとんど出てないんでしょ?
だったら大丈夫じゃん、」



広喜くんはそう言うと、カレーを一口、口に含んだ。



「…ん、美味い美味い。ねぇ、やっぱ生卵かけたら超美味いよ。鏡子もやってみ?」

「絶対無理」

「え~何で」



広喜くんの言葉にあたしがそう言って断ると、広喜くんは「何でこの美味さがわかんないかなぁ」って呟いた。

だって…ねぇ?

カレーに生卵とか……いや、あり得ないよ。




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