妖刀奇譚
「……おーい、大丈夫か?」
いつの間にかソファの方まで逃げていた來世が、恐る恐る近づいて尋ねる。
思葉はお腹をさすって頷いた。
「ごめんごめん、急にこんなに笑っちゃって……でも、面白かったから」
「ただカラオケか飯行くのがそんなに?」
「お願いだからしばらくそれ言わないようにして、特に前者」
「なんで面白いんだよ、そこまで笑える方が謎だぞ?
おまえの言ってるそのややこしい相手ってどんな奴だよ」
「……ちょっとズレてて変わってる、かな」
まさか太刀だとは言えるはずもない。
嘘をつかずにできる範囲で説明したが、來世はますます意味がわからないという顔つきになった。
「ちょっとなんてどころじゃねえだろそいつ絶対。
滅多にバカ笑いしないおまえが想像するだけで腹抱えて笑うなんて相当だぞ」
「あーあーあー、いいから勉強再開しようよ!
もうこんな時間だよ、來世単語覚えたの?
さっきから古文しか見てないけど英単語は完璧ってことね、テストするわよ」
「えっ、待てよ急すぎんだろ、あと5分!」