【完】狂犬チワワ的彼氏
そう言うと、「貰え」と言わんばかりに俺の方を見る。
…智輝さんの、俺に対する命令は絶対だ。
例え彼女が欲しくなくても、智輝さんが困っているなら貰わなきゃいけない。
俺はその言葉を聞くと、愛想笑いを浮かべて「では、いただきます」と返事をした。
…まぁ、いいか。
智輝さんの彼女はだいたい可愛いコが多いから。
俺がその言葉に頷くと、智輝さんはメモにそのコの連絡先を書いて俺に渡した。
「ほらよ。早めに連絡してやれよ」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
……お下がり。
服なら良いけど、人間の。
智輝さんは、人を物だとしか思っていないのかもしれない。
俺はそのメモを受けとると、それを持って自分の部屋に上がった。
「…、」
でもその時、階段を上がった先に自然と目に入るのは、拓海さんの部屋のドア。
俺はそのドアを見つめると、小さく…ため息を吐いた。
……拓海さん。
本当は俺、あなたのお下がりが欲しいです。